目に入る光景が変わっていた。
身体に感じる、覚えのある光、覚えのある影、覚えのある空気。
当然のことだ。自分はこの場所を知っていた。
忘れる筈がない。大事な場所だった。
―――嗚呼、そうか、自分は。
「おかえり」
何処からか聞こえてきた声に、笑みが浮かぶ。
「ただいま」
見上げた空は、何処までも蒼かった。
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あとがき
09/08/25