久しぶりに坊ちゃんに会って早々、この前渡した料理本を眼前につきつけられた。
あまりの勢いの良さにびびり、その場にひっくり返った私は間抜けじゃないと誰か言ってください。
番外編 苦しめよ少年 おまけ
「はぁ、ケチャップがない、と」
「『おむらいす』とやらを作るには欠かせねェもんらしいんだがよ」
「はぁ、らしいですね」
「大体な、『けちゃっぷ』が何か自体分かんねェんだよ!」
「あー、えーと、ほらここに説明書きが…『トマトでできてるくさい』って」
「トマトだけじゃ分かんねェっつの!他にも意味分かんねェとこ多すぎなんだよ!」
「えー、たとえば…?」
「『卵でふわっと、さながら姫のように、しかし誇りを失わずエレガントに巻いてください』
…ふざけんな!!Fuck!」
「お、落ち着いて、坊ちゃん」
「Ahー、クソッ!こんな挑戦状叩きつけられて男が黙ってられっかよ!
ぜってぇいつか完成させてやる…!」
小十郎ォ!トマト収穫して来い!後玉ねぎと人参だ!
と叫びながら厨房に向かう坊ちゃん。あらかた愚痴ってスッキリしたらしい。
しかし、あの燃えようは一体…そんなに変なこと書いただろうか。覚えがない。
その後、オムライスもどきを延々食べさせられた私は、
若干坊ちゃんにあの本を手渡したことを後悔している…かもしれない。
09/02/14
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