---------------------------------


・心壊サミットに触発された(「さあさお嬢さん、お泣きなさい」主人公と稲姫)


!要注意

※パラレル、このお話はフィクションです。シリーズ本編にまったく関係ございません。
※非常にドメスティック。狂ってる!愛がない!
※主人公鬼畜ドえす。救いようが無い。

なんでもいーぜカモンカモン、どんとこいな方はスクロールプリーズ。













「ねえ、稲ちゃん、聞いてる?」

あの大振りの弓を振り回しているとは到底思えぬ、彼女のか細い腕を捕らえ、問いかける。
にこりと笑えば彼女の瞳はぐらりと怯えたように揺れ、視線は虚ろに彷徨った。

「ねえ」

再度問いかければ、彼女は俺の腕をまるでもぎ取るかの如く振りほどき、
往生際が悪く逃げようとする。無駄なのにね。つまらないじゃん、ね。そういうの。さ。

「逃げられるとでも?」

戸にかかった手を掴めば、その黒い髪を振り乱して彼女は首を振る。
いやだいやだと言いたげなそれを黙らせるように腕を引き、
その勢いのまま布団の上になぎ倒して、その背を踏みつけた。軽く。至極軽く。
彼女の美しい黒髪が、違う生物のように布団の上に広がる。
ああ、背徳的、なんて頭のどっかで考えた。

「苦しいの、稲ちゃん」

彼女はまた首を振る。背に乗る足を跳ね除けるように、足掻き、もがく。
歪む其の顔が可愛くて。本当に可愛くて。
ああ、俺って本当にどうしようもない、かも。
なんて思いながら、また俺は君を傷つける。やっぱりどうしようもない。

不意に彼女の抵抗が止んだ。
涙が零れないのが不思議なほど歪んだ顔。彼女は俺の顔を見上げていた。
どこか、諦めたような表情だった。

「止めないでよ」

ああ、どうして俺はこうなってしまったんだろう。何故、何時から、何処から?
止めろ、と誰かが叫んだ気がした。五月蝿い。拒絶。黙りなさい。従え。俺は俺、違いない。
足の力が緩む。彼女の柔らかい背から軟らかい布団へと足を下ろす。
途端に彼女が布団に手をつき、起き上がろうとする。生への本能?希望?ああ、結構だ。

彼女の体が起き上がる前に、突っ張った細い腕を掴み、抑え付けた。
布団の上へと逆戻りした細く頼りなく小さな其の顔を、至近距離で覗き込み、笑った。

「言えよ。俺が好きだろ?」

(09.08.05)

---------------------------------

くらーい!最後の台詞を言わせたいがだけの話。